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うつ病

うつ病は、気分がひどく落ち込み、憂鬱になるだけでなく、意欲の低下や不眠、疲労感、倦怠感といった身体的な症状も現れることがある気分障害の一種です。気分障害は、「うつ病性障害」と「双極性障害(躁うつ病)」に大別され、一般的に「うつ病」と呼ばれるものは、うつ病性障害の中の「大うつ病性障害」を指します。うつ病では、気分の落ち込み、意欲の低下、不眠といったうつ状態のみが見られるため、「単極性うつ病」とも呼ばれます。一方、双極性障害は、うつ状態と躁状態(軽躁状態)を繰り返す病気です。

気分の落ち込みとうつ病の違い

日常生活において、憂鬱になったり、気分が落ち込んだりすることは誰にでもあります。人間関係の悩み、仕事や受験での失敗、大切な人やペットとの別れなど、様々な出来事が悲しみや辛さの原因となります。しかし、これらの気分の落ち込みは、原因が解消されたり、気分転換をしたり、時間が経過することで自然に回復していくものです。

一方、うつ病の場合、気分の落ち込みに明らかな原因が見当たらないこともあります。また、原因となった問題が解決しても気分が回復せず、仕事や学校に行けなくなったり、日常生活に支障をきたしたりするため、治療が必要となります。

気分障害(双極性障害を含む)の患者数

厚生労働省の調査によると、気分障害(双極性障害を含む)の患者数は約100万人で、女性は男性の1.6倍となっています(厚生労働省「患者調査」)。ただし、この調査には病院を受診していない人は含まれていないため、実際にはさらに多くの人がうつ病を含む気分障害に苦しんでいると考えられます。

日本におけるうつ病の生涯有病率は6.7%であり、約15人に1人がうつ病を経験していることになります。つまり、うつ病は決して珍しい病気ではなく、誰でも発症する可能性があるのです。

うつ病の要因

うつ病の発症メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、感情や意欲を司る脳の機能に何らかの障害が生じていると考えられています。具体的には、脳内の神経細胞間で情報を伝達する神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン)のバランスの乱れが関係している可能性があります。

神経伝達物質の量の変化だけでなく、うつ病になりやすい性格傾向や、ストレスといった環境要因が複合的に作用することで、うつ病が発症すると考えられています。

うつ病になりやすい性格としては、真面目、完璧主義、自己批判的、凝り性、気遣いなどが挙げられます。これらの性格傾向を持つ人は、ストレスを受けやすいと考えられます。

また、学校や職場でのいじめ、受験や仕事での失敗、失恋や離婚、大切な人との死別といった悲しい出来事だけでなく、結婚、妊娠・出産、昇進・栄転、進学・就職、新築・引越しといった喜ばしい出来事も、環境の大きな変化によるストレスとなり、うつ病の引き金となることが知られています。