双極性障害は、気分が高揚したり落ち込んだりする躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気です。躁状態が激しく、うつ状態も伴う双極I型と、軽度の躁状態(軽躁状態)とうつ状態を繰り返す双極II型があります。
躁状態では、気分が高揚し、誰彼構わず話しかけたり、ほとんど眠らずに活動的になったりします。極端な場合には、ギャンブルに全財産を費やしたり、高額なローンを組んで買い物をしたり、上司と激しく対立して辞職したりするなど、社会的信用や財産、職を失うような行動に出ることもあります。
一方、普段よりも活動的で、周囲から「いつもと違う」「元気すぎる」と思われる程度の軽い状態は、軽躁状態と呼ばれます。
うつ状態では、一日中憂鬱な気分が続き、不眠や過眠、趣味やテレビへの関心の喪失、食欲不振、倦怠感といった症状が現れます。
世界的には、双極性障害は100人に1人が発症するとされています。日本国内では、500人に1人という調査結果もありますが、研究が十分に進んでいないため、正確な発症率は不明です。いずれにしても、双極性障害は決して珍しい病気ではありません。発症率に男女差はなく、20代から30代に発症することが多いものの、中学生から高齢者まで幅広い年齢層で発症する可能性があります。
双極性障害を引き起こす特定の遺伝子は特定されていません。しかし、ストレスに対する感受性など、発症しやすい体質には遺伝的要因が関与していると考えられています。