TOPへ

強迫性障害

強迫性障害とは

強迫性障害とは、自分でも不合理だと分かっていながら、不快な考え(強迫観念)が繰り返し頭に浮かび、それによって生じる不安を打ち消すために、無意味な行為(強迫行為)を繰り返してしまう病気です。不安障害の一種に分類されます。

強迫性障害では、強迫観念による不安を解消するために強迫行為を繰り返すことで、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。また、統合失調症うつ病などの他の精神疾患でも強迫症状が見られることがあります。

強迫性障害の発症原因

発症原因は、心理的・環境的な要因よりも、几帳面や完璧主義などの性格傾向に加え、脳内の特定部位の機能異常や、神経伝達物質のバランスの乱れが関係していると考えられています。多くの場合、特にきっかけなく徐々に発症しますが、幼少期に強迫性の強い親から養育された場合、子供も強迫性を持ちやすいことが知られています。

薬物やギャンブル依存症も、やめなければならないと分かっていながらやめられないという点で強迫性障害と似ていますが、依存症では行為に快感が伴うのに対し、強迫性障害では苦痛のみである点が異なります。

現れる症状

強迫性障害に現れる症状を以下に紹介します。

洗浄強迫:

汚れや細菌への恐怖から、何度も手を洗ったり、長時間入浴・掃除をしたりする

確認強迫:

ガスの元栓や戸締まりなどが気になり、何度も確認を繰り返す

加害強迫:

運転中に人を轢いたのではないかと不安になり、確認のために引き返す

その他:

他人を傷つけることへの恐怖、些細なことを過剰に詮索する、物の数や配置にこだわる、特定の手順にこだわるなど

強迫行為は、自分で行うだけでなく、家族や他人に確認や保証を求める「巻き込み型」と呼ばれるものもあります。強迫性障害は慢性的に経過し、青年期に発症して長年続くことが多いです。また、半数以上にうつ病などの精神疾患を合併し、自殺のリスクも高まります。

診察と検査

診断は、国際的な診断基準であるICD-10やDSM-5に基づいて行われます。強迫観念や強迫行為は、他の精神疾患でも見られるため、鑑別が必要です。また、脳炎などの脳器質性疾患が疑われる場合は、血液検査、髄液検査、頭部CT・MRI、脳波検査などが行われます。

治療法

治療法は、薬物療法と精神療法があります。

薬物療法:

セロトニンの調整を行うSSRIや三環系抗うつ薬などが用いられます。効果が出るまでに時間がかかるため、継続的な服用が重要です。不安感が強い場合は抗不安薬、重症の場合は少量の抗精神病薬が併用されることもあります。

精神療法:

曝露反応妨害法と呼ばれる認知行動療法が用いられます。強迫症状が出やすい状況にあえて身を置き、強迫行為をせずに不安が自然に消えるまで待つという方法です。専門医と相談しながら継続して取り組む必要があります。