TOPへ

摂食障害

思春期は、自己同一性が確立されていないため、極端な行動に走りやすい時期です。特に若い女性の間では、ダイエットを試みる人が少なくありません。しかし、その中には、極端な食事制限(絶食)、過剰な運動、自己誘発嘔吐などの危険な行動に走ってしまう人がいます。その結果、極端な体重減少を引き起こし、その後、過食と嘔吐を繰り返したり、低体重の状態が続いたりすることがあります。

拒食症と過食症の診断

摂食障害は、主に30歳以下の人に発症します。

拒食症:

3か月以上にわたり、体重が20%以上減少します。外見上、異常なほど痩せているにもかかわらず、本人は体重を戻すことを拒否します。

過食症:

根底には強い肥満恐怖があり、食べた後に自己誘発嘔吐や下剤の使用をしたり、夜間に隠れて大量に食べたりします。

拒食症と過食症を繰り返す人も多くいます。

摂食障害による体調不良

摂食障害は、体重減少による症状と、過食・嘔吐による症状を引き起こします。

体重減少による症状:
無月経、低体温、低血圧、徐脈、便秘、手足のむくみ、脱毛、体毛の増加、集中力低下など。

過食・嘔吐による症状:
唾液腺の腫れ(えらの張り)、虫歯、脱水症状、低カリウム血症、口腔、食道、胃の損傷など。

摂食障害の患者さんの数%~10数%は、長期的な経過の中で命に関わる危険な状態になり、死亡に至ることもあります。

摂食障害は、身体的な問題だけでなく、認知の歪みが根底にあると考えられています。そのため、精神科での長期的な治療が必要です。

家族の方へ

拒食の場合:
回復を急がず、食事を強制したり、監視したりしないようにしましょう。

過食の場合:
過食や嘔吐などの異常な食行動を心配しすぎず、監視して無理に止めさせようとしないようにしましょう。

身体的な症状に振り回されないようにしましょう。患者さん自身も、体調が悪いことを自覚しており、そのような行動が良くないことも理解しています。しかし、心の苦しさから、そのような行動をせざるを得ない状況にあることを理解することが重要です。

摂食障害の人は、「自分は病気ではない」と精神科への受診を拒むことが多いため、受診に至るまでには根気強い対応が必要です。焦らず、患者さんの苦しい気持ちに寄り添い、共に治療に取り組んでいきましょう。